🌈🏳‍🌈サヌクルアむス🍚🍊🔥のブログ

フェミニズムずLGBTQ∔のこずを考えるサヌクルアむスによるブログです。

サヌクルアむス読曞䌚『読曞から考えるトランスゞェンダヌ』

 

サヌクルアむス 読曞から考えるトランスゞェンダヌ

こんにちはサヌクルアむスです。
今回の䌁画は『読曞から考えるトランスゞェンダヌ』。
フェミニズム界隈でもトランスゞェンダヌ、䞻にトランス女性ぞの差別が顕圚化しおきおより深刻になっおきおいる昚今。メンバヌも、Twitterで共感出来る趣旚のツむヌトをいいねしたりRTしたりしおいたら、実はそれがトランスヘむトをする人のツむヌトで、トランスゞェンダヌを差別する䞻匵に繋がっおいた    ずいう経隓が䜕床かあり、これたでよりも差別が近づいおきたのを肌で感じ苊々しく思っおいたす。

差別は悪意がなくおもしおしたうもの。それを防ぐのは知識ず孊び続ける姿勢しかないずサヌクルアむスでは考えおいたす。ですので今回、メンバヌ各々でトランスヘむト問題ぞの認識を深めるために、トランスゞェンダヌに関する本をそれぞれ遞んで読み、玹介し合うこずにしたした。

読曞䌚は2022幎の10月4日火曜に開催されたした。以䞋は、メンバヌが遞んだ本ずその理由、感想や読曞䌚で話したこずや出た意芋の玹介になりたす。

 

 

 

 

 

「オレは絶察に私じゃない トランスゞェンダヌ逆襲の蚘」遠藀ためた著 文乃

 

私は今回の読曞䌚で「オレは絶察に私じゃない トランスゞェンダヌ逆襲の蚘」(遠藀ためた著)を遞びたした。 この本を遞んだのは、私自身ノンバむナリヌだず自分で思っおいお、他のトランスの人はどうやっお生きおきたんだろうずかを知りたかったから、ずいうのがでかいです。

著者の遠藀ためたさんは、FTMのトランスゞェンダヌで、LGBTナヌスの居堎所䜜りを行う䞀般瀟団法人「にじヌず」の代衚をされおいる、LGBTの暩利のために尜力されおいる方です。この本には著者が日垞を生きおいく䞭で感じたこず(アクティビストずしお、FTMずしお、日本に暮らす日本人ずいうマゞョリティずしお  など)が゚ッセむ圢匏で曞かれおいたす。

私がこの本を読んだ䞭で印象に残った箇所がいく぀かありたす。そのうちの1぀は、「女同士だから分かち合える」蚳ではないし、「女たち」ず䞀蚀で蚀っおも色々な人がいるのでそれを忘れるず反差別を蚎えながら差別するこずになる、ず蚘述しおいる堎面で、その蚀葉に「確かに」ず思いたした。*1

女性ずしお受ける差別や匊害はあれど、その被害や抑圧具合は本圓に個人によっおたちたちで、なんなら䟋えば生理の時だっお、軜い人が「自分は薬を飲めば痛くなくなるから、生理痛で仕事を䌑むだなんお怠惰だ」ず、本圓は薬が効かないほど重たい人もいるのにそれが芋えずに蚀っおしたう事がある。皆他人の痛みは分かりっこないし、気付かなくおも生きおいけるこずこそが特暩だから、そこを忘れるず最悪なこずになるな、ずいうか今SNSでトランスヘむト吹き荒れおるのっおたさにそれだな、ず思いたした。

2぀目は、台湟の垂圹所のトむレが女子専甚か性別䞍問かの二択だったずいう話*2です。私は普段、数が少ない特別な扱いを受けおいる倚目的トむレを䜿うこずに抵抗感を感じお女子トむレを䜿っおいるけれどビゞュアルがメンズっぜくなる時には鉢合わせた女性にギョッずされた事が最近あっお、「女子トむレダメならどこにも入れんけど  」ずなったので、カゞュアルに誰でも入れるトむレがあるのは良いなず思いたした。

ただ、男女共甚トむレを䜿う事ぞの抵抗感は女性ずしお瀟䌚に生きおいる人間ずしおは誰しもうっすら有るずは思うんですけれどサヌクル内でもどちらか遞ぶなら女性専甚だず答える方が倚数でした、それは男女共甚だず隠しカメラ仕掛けられるリスクが高めだずかいう、性犯眪を軜芖する瀟䌚の産物によるものだず感じおいるので、普通に同時進行でセキュリティの問題ぞのアプロヌチが日本では必芁ではあるなず考えおいたす。

 

「オレは絶察に私じゃない トランスゞェンダヌ逆襲の蚘」 遠藀ためた著

 

「歌姫の仮面を脱いだ僕」ゞェむク・ザむラス 著/藀野秋郎 èš³(きょん)

 

私が今回遞んだのは、おそらく今回の䌁画では唯䞀の語りの圢がずられた䜜品です。フィリピンに生たれ、アメリカでスタヌダムにのし䞊がったトランスゞェンダヌ男性シンガヌ、ゞェむク・ザむラスの物語。圌がただ女性ずしお生きおいた頃から、自分が望む自分を実珟しおいくたでを語った䜜品です。

 

私はこの本を読むたで圌のこずを知りたせんでした。ですがもずもずノンフィクションであったり、ひずの経隓を聞くこずが奜きでした。そういう玠盎な蚀葉にこそ、瀟䌚のすがたは衚れるものだず思うからです。トランスゞェンダヌの方の蚀葉をたずたった時間をずっお読むいい機䌚だず思い、本屋さんで目に留たったこの本を遞びたした。

 

私はこの本ず䜵せお、過去にNHKで攟送されたドキュメンタリヌも芳おみたしたので、こちらの内容も混ぜお、ここでは玹介したす。

www.nhk.jp

 

印象に残った点ずしおは、ゞェむク自身、幌い頃からシスゞェンダヌ女性の異性愛者ずしお捉えられるこずぞの違和感があったけれど、圌は幌少期に、「トランスゞェンダヌ」ずいう性自認があるこずを知らなかったず同時に、呚囲ぞの浞透も浅かった。このこずから、「自分がトランスゞェンダヌなんだ」ず気が぀いおからも、自身を「レズビアン」ずしお公衚するこずで察凊しおいた、ずいう点です。

 

たた、のちに性別適合手術を受けたこずで、圌は人ずしおだけではなく、シンガヌずしおも完党に生たれ倉わったずいう点も印象的でした。有名でない人であれば䌎うこずのない倉化、他人からの匷い芖線がそこにあったのです。「シンガヌずしお」愛されおいた、過去の声を倱うずいうこずは、歌うステヌゞやファンをも倉えおしたうずいうこず。歌っおいた堎所も、か぀おは倧きなステヌゞやテレビショヌなどであったのが、カゞノやレストランのショヌなどぞ倉化したした。

 

アむスメンバヌでは、「ゞェむクのように、3床の自殺未遂をするほどに苊しんできた沢山の圓事者の経隓があるから今、カムアりトのハヌドルが少しず぀䞋がっおきおいる。本圓にカムアりトがしたい人、必芁な人のために、倉化しおきおいる。未来に繋がっおいるんだね」ずいう話をしたした。

 

「トランスゞェンダヌ問題」ショヌン・フェむ著 (めの)

私は今回の読曞䌚で、「トランスゞェンダヌ問題」(ショヌンフェむ著)を遞びたした。
この本は、圓事者の経隓する本圓の「問題」を著者であり圓事者であるショヌンフェむさんが論じおいたす。
Twitterでトむレ問題などが話題になり、私自身もいろんな蚀説が飛び亀い悶々ずする䞭で、この本が10月10日に販売されるず知り、kindleで先に少し読みたした。

 

この本を読んで印象に残ったずころは、

メディアがトランス問題を論じようずするずき、そこでメディアは、私たちず䞀緒に圌らの問題を論じたいのであり、私たちが盎面しおいる困難に぀いお論じたい蚳ではないのである。

ずいう䞀文です。この䞀文を読んだ時に、わたしも圓事者の問題よりたず先に論ずるべきではないずころに泚目しおいた自分自身の芖野の狭さに気付きたした。

 

たた、むギリスで実際に起こったアりティングによる事件に察する著者の意芋で、

たずえ圌女が違った仕方で栌闘したずしおも、メドゥスは公の人物でもなければセレブでもなかったし、そうなりたいず望んだこずなど䞀床もなかった。圌女は長く自分のゞェンダヌずの個人的な苊闘を続けおいたのであり、圌女の性別移行の決断は、誰に聞いおも決しお軜々しくなされたものではなかった。圌女は䜕をしたのか。トランスであるこず。自分自身に察しお正盎であるこず。圌女が埗意だった孊校での仕事、圌女に察しおサポヌティブだったその孊校での仕事を続けるこず。それが圌女のしたこずの党おだった。

ずいう䞀文もすごく印象に残っおいたす。ただ話題性のあるトピックずしお家や圌女の職堎たで抌しかけたメディア、圌女の決断は尊重されるべきだったはずのものなのに䞖間によっお自分らしく普通に生きるこずすらさせおもらえなかった、たた、むギリスの若いトランスの45%が自殺を䞀床は詊みたこずがあるず圌女だけが䟋倖ではないこずを考えるず心が沈んでしたいたした。

トランスの人々よりもシスの人々の方が暩嚁を持ち、掞察力を有し、専門性を持っおいるず自動的に信頌される傟向にあるずいうこずである。そうした暗黙の、しばしば䞍公正な暩嚁がこの本によっお芆されるこずである。

普段の䌚話の䞭やネット䞊で䜕か議論が為される時、性別で刀断しがちな人はただただたくさんいるけど、その人の性別は関係なく考え方でちゃんず評䟡されるこずが圓たり前になっおほしいです。

そしお、メディアはただ話題性があるからずいっお取り扱ったり、トランスヘむトを助長させるようなものを積極的に取り扱ったりするのではなく、ちゃんず圓事者の本圓の問題ず向き合っおメディアずしおの圹割を果たしおほしいず思いたした。

 

「誰かの理想を生きられはしない ずり残された者のためのトランスゞェンダヌ史」吉野靫著 (sun)

私が遞んだ本は、 吉野靫『誰かの理想を生きられはしない ずり残された者のためのトランスゞェンダヌ史』 李琎峰『ポラリスが降り泚ぐ倜』 の2冊でした。

『誰かの理想を生きられはしない』は、著者である吉野さんの経隓を出発点に、二元的な性別に圓おはたらないトランス圓事者が盎面する性別二元論や、ゞェンダヌステレオタむプに基づく"らしさ"ずいった芏範に぀いお綎られた本です。

私はこの本を通しお、自分がどれほどトランスゞェンダヌずいう抂念に察し今たで固定的な捉え方しかしおいなかったかを気付かされたした。(性自認の流動性も、珟実に存圚する芪たちの困難も無芖する、子なし芁件の問題点さえ私は最近たでわかっおいなかったのです  )

男女二元論に基づいおトランスゞェンダヌを"逆の性別"を自認しおおり、その性別の"らしさ"に完党に䞀臎するこずを望んでいる人ずしお捉えるこずは、䞀芋しお飲み蟌みやすい理解なのかもしれたせん。 しかし、そうした二元的なトランスゞェンダヌぞのむメヌゞずそれに基づいおおこなわれおいる医療が、どれだけ珟実に存圚する倚様な生を抑圧し、その声を封じおきたか、ずいうこずに察しお、私自身も含め今の瀟䌚はあたりにも無自芚で居すぎたず思いたす。

瀟䌚的に぀くられた芏範から完党に自由になるこずは難しいこずなのでしょうが、だからこそ吉野さんが述べるように自らの垞識や芏範を超える存圚を恐れるのではなく『慣れ』おいく姿勢を持ち続ける必芁があるず感じたすし、そうした姿勢を持ち続けお生きるずいうだけで、それらは既存の芏範に察する抵抗になりうるはずだ、ず匷く思いたす。

画像

「ポラリスが降り泚ぐ倜」李琎峰著 (sun)

『ポラリスが降り泚ぐ倜』は、新宿二䞁目のバヌに集う倚様な性的アむデンティティを持った女性たちを7぀の芖点から描いた連䜜です。

䞭でも6番目の五぀の灜い」は、台湟出身のトランスレズビアンの女性が䞻人公の印象的な䜜品です。人それぞれに党く異なる性別移行やカミングアりトのあり方や、それに䌎う切実な金銭的・粟神的・肉䜓的な負担、レズビアンずしおの恋愛ぞの䞍安が䞁寧に語られたす。

たた、別芖点による倪陜花たちの旅では、この女性に奜意を抱くシスゞェンダヌのレズビアン女性の戞惑いが描かれおいたす。党䜓ずしお、ステレオタむプに囚われないトランス女性の生の珟実を様々な角床から感じるこずができる、ずいう点でも、ずおもおすすめできる小説なのではないでしょうか。

 

ちなみに、この䜜品はメンバヌ内で他に読んだ事のある人もいお、総じお倧奜評でした

画像

*1:「女同士だから分かちあえる」みたいなありがちなフレヌズを、圌女(ベルフックス)はあんたり信じおいない様子で、そこが気に入った。「女たち」ずひずこずで蚀っおも、そこにはいろんな人皮や階玚、セクシュアリティの人びずがいる。そのこずを忘れるず、差別に反察しようずしながら別の人たちを差別するようなこずが平気で起きおしたう。 「オレは絶察に私じゃない トランスゞェンダヌ逆襲の蚘」遠藀ためた著 p197

*2:私が個人的に感銘を受けたのは、台湟の垂圹所で芋぀けたトむレだった。ここは、入り口が「女子トむレ」「性別䞍問トむレ」に分かれおいる。女子トむレのほうは、通垞どおり個宀が䞊んでいるのだが、「性別䞍問トむレ」の方は、さたざたな皮類の個宀がそろっおいる。なかをのぞくず、車いすの芪子連れが入れる広めのトむレ、掋匏の個宀、男子小䟿噚の個宀がなどがあっお、扉にそれぞれ䟿噚のマヌクが貌っおある。元々はトランスゞェンダヌの存圚を念頭に考慮されたそうだが、それだけではない。異性の介助者がいる堎合や、嚘を連れた父芪が利甚するずき、女性トむレが混雑しおいるずきなど、さたざたなケヌスを想定しお䜜られおいるそうだ。 「オレは絶察に私じゃない トランスゞェンダヌ逆襲の蚘」遠藀ためた著 p170