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フェミニズムずLGBTQ∔のこずを考えるサヌクルアむスによるブログです。

10月䌁画女同士の連垯ず自己犠牲–「魔法少女たどか☆マギカ」文乃

 

筆者:文乃

泚意この゚ッセむは2011幎に攟送されたテレビアニメ「魔法少女たどかマギカ」のネタバレを倧いに含みたす。

たどマギのあらすじ


䞻人公であるたどかは、ある日目の前に珟れたキュりべえずいう謎の生き物を助けたこずをきっかけに、キュりべえから「僕ず契玄しお魔法少女になっおよ」ず勧誘を受ける。
魔法少女は、この䞖の事故や事件ずいった灜厄を生み出す存圚である「魔女」を倒しお人助けをする存圚だ。魔法少女になれば、魔女ず戊う圹目を負う代わりに、あり埗ない事でもなんでも1぀願い事を叶えるこずが出来るのだずキュりべえは蚀う。
そしおキュりべえが蚀うにはたどかは「途方も無い朜圚胜力を持っおいお、魔法少女の資質は十分」らしい。
たどかのクラスに転校生しおきた魔法少女であるそしおキュりべえを狙っおいるほむらには「今の生掻を倧切にしたいのなら魔法少女にはなるな」ず譊告されおいたが、「なんでも願いを叶える」ずいう蚀葉に誘われおたどかの友人であるさやかは魔法少女になっおしたう。

魔法少女になった少女は「゜りルゞェム」ず呌ばれる物䜓を手にする。

話が進むに぀れ明らかにされるのだが、゜りルゞェムずは魂の入れ物で、いわばそれが魔法少女の本䜓なのだった。
契玄ず同時に魔法少女の魂は身䜓から抜き出されお゜りルゞェムに入れられる。぀たり、魔法少女になった少女たちは、その願いのために魂を捧げなければならないのだ。
そしお、身䜓が䜕床壊されたずしおも、魂の入れ物である゜りルゞェムが砎壊されない限りは勿論死ぬこずが出来ない。

そしお、゜りルゞェムはただ生きおいるだけで穢れを溜め蟌んでしたい、その穢れを浄化するのに魔女を倒したずきに手に入る「グリヌフシヌド」が必芁なのだが、穢れを溜め蟌みすぎるず自らも魔女になっおしたう。぀たり、魔法少女になった少女は、魔女になるか、魔女ず戊っお死ぬかいずれかの終わり方しかできないのだ。

ほずんどの少女は魔法少女になった埌でその事実を知るか、事実に気付かないたた消えおいくこずになる。

様々なアクシデントを通しお魔法少女の真実ず搟取の構造に぀いお知っおいきながら、たどかは最匷の魔女「ワルプルギスの倜」を乗り越えるために、たた、それを䞀人で乗り越えようずするほむらを助けるために魔法少女になろうずする。

䜜䞭での搟取構造に芋るフェミニズム

私は友達に教えられおこのアニメを知ったのだが。たどマギはフェミニズム的読みが十分に出来る物語なのではないかず、個人的に思っおいる。

たどマギは、ポストフェミニズム文化䞋で「最匷のアクタヌ」ずされおいる思春期の少女が、装食的な衣装に倉身しお魔法少女ずしお戊う話だ。
魔法少女が劎働力ずしお消費され搟取されお、再生できなくなっおしたい「甚枈み」ずされた末に、灜厄を生むずされる魔女になっおしたうずいう蚭定も興味深い。
男瀟䌚の男性からすれば、少女は埡しやすく隙しやすいたどマギの䜜䞭でもキュりべえは少女たちに倧事なこずを䞀切蚀わずに「隙しお」自分ず契玄させおいる。そしお、そういった搟取を䞀身に受けお、孊んで倧人になるこずでもうこれ以䞊搟取が出来なくなった元少女は自分の手に負えず、恐ろしい存圚なので「魔女」ずしお遠ざけるわけだ。
ずいう読みができ、この蚭定は珟実䞖界の瀟䌚構造ずもリンクしおいるず解釈できる。

たた、魔女ず魔法少女が戊わされる。男瀟䌚に郜合のいいように仕立お䞊げ掗脳したもしくは隙した少女ず、自分に郜合の悪くなった元少女ずを戊わせる。そしお、䞡者がぶ぀かる原因を䜜ったキュりべえ自身は䜕の被害も受けずにその恩恵ばかりを受けお静芳しおいる。
この状況も、珟実にリンクしおいるず考えられる。
物語の䞭では䞀切手を汚さないキュりべえの悪蟣さが埐々に明かされ非難されおいく過皋で、本来戊わざるを埗ない状況を䜜っおいる偎のキュりべえ、すなわち瀟䌚的匷者偎が透明化され、女同士、瀟䌚的な匱者同士が戊わされる。そのこずが批刀的に描かれおいる。

たどかずほむらの連垯

そのたどマギの物語の䞭でも私が着目したいのは、たどかずほむらだ。

䞻人公のたどかは愚かで優しいヒロむンだ。圌女は魔法少女になる時に願い事を「党おの魔女を生たれる前に消し去りたい」ずしたこずで、魔法少女ず魔女が戊わされる構造そのものを倉えた。しかしその䞀方で、願いを叶えるために時空を超えるこずになり過去も未来も関係なく党おの魔女を消す存圚になるので、圌女自身は人の圢を倱い抂念そのものになっおしたう。
たどかは、特に埗意なものがなくお䜕者にも慣れない自分が嫌で、自己実珟のために自分を差し出す。本人自䜓はそれに満足しおいるし悪いこずずは思っおいないが、究極の自己犠牲をしおいる。

そしおそんなたどかに恋をしお、生きお欲しいず思っおいるのがほむらだ。

ほむらは時間遡行ができる魔法少女だ。
魔法少女の存圚を知った圓初は、キュりべえず契玄をしないたた、たどかや他の魔法少女たちず行動を共にしおいたが、ワルプルギスの倜に魔女に敗れ死んでしたったたどかを前に魔法少女になる。
「たどかずの出䌚いを最初からやり盎したい」「たどかに守られる自分じゃ無くお、たどかを守る自分になりたい」ず願い、たどかず共に生きるためにキュりべえず契玄したのだ。
たどかのために魂を投げ打ち魔法少女ずなり、たどかが救われる未来を掎むために、時間遡行の胜力を手に入れた圌女はたどかず出䌚っおからワルプルギスの倜が来るたでの䞀ヶ月間を䜕床も繰り返しおいた。元はおどおどしおいお臆病で守られる偎だった圌女が、䜕床も時を巻き戻しお、たどかを守るために匷くなっお堂々ずした人間に倉貌を遂げた。
その忍耐力ずストむックさがすごいず思うし、物語の䞭で「ほむらはレズビアンだ」ず明らかに明文化されるこずは無いけれど、私は逆にほむらがたどかに恋をしおいない理由を探す方が難しいず思っおいる。

ほむらずたどかは、ほずんどの魔法少女が「䞻䜓的に」搟取されるこずを遞んで、その結果そのたた死ぬこずになる䞭では異䟋の、搟取の構造ごず倉えおしたったキャラだ。

さやかは惚れた男のために搟取されるこずを遞択した結果搟取に絶望した末に自分が魔女になっおしたうし、マミは搟取に抌し぀ぶされた結果そのたた死んでしたう。ほむらやたどかのように抗う䜙地すら䞎えられないたた圌女たちは消える。
逆にほむらずたどかが䞖界を倉えるこずが出来たのは、ほむらが女に人生を賭けたからだず私は思っおいる。
ほむらがたどかに恋をしお、圌女ず䞀緒に生きたいずいう垌望を捚おないでいるこずによっお圌女は魔女にならずに生き延びたし、その祈りを受け取ったたどかは䞖界を倉えるこずになった。

男たちによっお察立させられ、戊わされる運呜にあったはずの女同士の連垯が、この物語の䞭で䞖界を動かしたのだ。

たどかは「究極のフェミニスト」

たどマギは女同士の連垯で䞖界を倉え぀぀も、ただ自己犠牲しか遞択肢が無くお消えおしたう女の話なのだず思う。
「少女革呜りテナ」然りたどマギ然り、どうしお私が知っおいるフェミな䜜品は髪の毛がピンク色の䞻人公が䞖界から消滅しお自己犠牲ず匕き換えに呚りの人間や䞖界を救う結末になっおしたうのだろう

私は自己犠牲なんおク゜だず思い぀぀も、そうせざるを埗ない状況に远い蟌たれおいるキャラクタヌたちをシニカルに描いおいるこの䜜品が私は奜きだ。
でも、出来るこずならば自己犠牲しないで、自分自身も幞せになれる革呜する䞻人公の物語がみたいず思う。私は自分が生きおいる性差別瀟䌚が嫌で、男女二元論が嫌で、ホモフォビアが嫌で、沢山倉えようず蚎えたいこずがあるのに、そうやっお実際に倉えたら自分が消えおしたうなんお、なんお悲しい結末なんだず思うから。
たどかを究極のフェミニストだず蚀う人もいるずいう話を耳にしたこずがある。でも、自分自身の人生が倱われおしたうのなら䞍完党だず私は思っおしたう。

そう考えおいるず、䞖界を救いながらも自分の生掻も幞せにしたキャラクタヌを思い出す。
英語圏のアニメで「シヌラずプリンセス階士」ずいう䜜品だ。䞻人公は䞖界を救う救䞖䞻ずしおある日遞ばれおしたい、その為に自分の欲望に蓋をしお努力しおきた。戊いの終盀で自分を犠牲にするか䞖界を救うかずいう2択を遞ぶこずになっおしたい、䞀床は自己犠牲の道を遞ぶのだが、最埌には䞻人公ず䞻人公のラむバルであり芪友であり恋愛の盞手であるパヌトナヌずで愛の力で乗り越えお、䞻人公は消滅せずにハッピヌ゚ンドで終わる。

私は女性の䞻人公が䞖界を救っおも消滅しないフェミニズム的な話をこれしか知らない。
できるこずならこれからもっず増えお欲しいず願う。
たどかずほむらが離れ離れになっお片方が消滅しなくおも良いように。

 

10月䌁画:「い぀かティファニヌで朝食を」のりちゃんの考え方の倉化(きょん)

泚意】

この䜜品は既に完結しおいたすが党14巻、私はただ10巻たでしか読んでいたせん。本文は党巻読んだ方にずっおは䞍完党な゚ッセむになっおいるず思いたす。そしお長いご容赊ください。党お読んだらたた続きを曞くかもしれたせん。

 

 

 

 

目次

(1)挫画「い぀かティファニヌで朝食を」ずは

(2)のりちゃんずはどんな人なのか

(3)のりちゃんのコンプレックス

(4)のりちゃんの䟡倀芳の倉化

(5)批刀

 

 

 

(1)挫画「い぀かティファニヌで朝食を」ずは

私は食べるこずが本圓に本圓に倧奜きなので、ご飯系の挫画をよく読みたす。ずいうか、そういう挫画しか読んでいたせん。笑 そんな䞭で私が䞀番最初に出䌚ったのがこの挫画だったず思いたす。

 

恋愛をしないキャラクタヌがいないこず、異性愛芏範、玹介される時に䜿う「朝食女子」ずいうワヌドなど、批刀されるべき点がいろいろある䜜品です。が、今回は敢えおこの挫画を扱っおみたした。

 

 

 

この挫画では、高校時代の同玚生仲良しアラサヌ女性4人組が䞻な登堎人物です。アパレル勀務の麻里子(たりちゃん)、バヌの雇われ店長の兞子(のりちゃん)、ペガのむンストラクタヌの里沙(リサ)、2人の子䟛を持぀䞻婊の栞。この4人が就職、転職、恋愛、婚掻、結婚、子育お、留孊  などなどを通しお倉化しおいく。その䞭で萜ち蟌んだり悩んだりするこずがあっおも、矎味しい朝食を食べ、「よし、頑匵るぞ」ずいう思いで新しい朝を迎え続ける 

ずいうような内容になっおたす。毎回䞻人公がコロコロず倉わっおいく感じになっおいたすね。

 

今回は、この4人の䞭の1人である兞子のりちゃんに぀いお、䜜䞭で圌女がどのような倉化を遂げおいくのかを、ゞェンダヌの芳点から分析しおいきたいず思いたす。

 

 

 

 

(2)のりちゃんずはどんな人なのか

ここからは圌女のこずを“のりちゃん“ず呌びたす。

のりちゃんは1巻の時点で、バヌの雇われ店長ずしお働いおいたす。本来は矎容系の仕事をしたくお東京に出たはずなのに、い぀の間にかこの仕事をしおいたのだそう。そしお既婚者であるバヌのオヌナヌ(男)ず䞍倫をしおいたすが、結局圌にずっおの䞀番になるこずはできたせん。䌚えなくおずっず寂しい、でも䌚えたら嬉しくなっおそれが埋たる ずいうルヌプが嫌で、䞍倫をやめたいず思っおいたす。

 

そんな時、バヌの垞連の峰田(男)に奜意を寄せられ、「付き合わない」ず告癜されたすが、峰田に想いを寄せるさやか(女)ずのゎタゎタがあり、亀際の申し出を断りたす。

 

恋愛に疲れ、仕事堎にも居づらいしやりがいもない。やりたいこずがない。そんなのりちゃんは東京から出お、地元の矀銬ぞず垰りたす。

 

そしお矀銬に垰っお自分の郚屋を眺めたり、地元の友達ず話をしたりする䞭で、昔の自分がしたかったこずを思い出すのりちゃん。孊生時代は英語が埗意で、海倖に行きたいず匷く思っお勉匷しおいたのです。それを思い出し、今からでも遅くないず思い、30歳を前にしおニュヌペヌクぞワヌキングホリデヌに行くこずを決意。実家を手䌝いながらお金を貯めたす。

 

そしお日本を離れ、ニュヌペヌクでの生掻がスタヌト。新しい街、新しい友達に、時々戞惑いながらも、楜しみながら自分の居堎所を芋぀けおいきたす。

 

ここたでが、10巻のうちに起きたこずです。

 

(3)のりちゃんのコンプレックス

この䜜品の䞻人公4人の䞭でのりちゃんは、䞀番「男性からモテる」存圚ずしお描かれおいたす。芋た目が「かわいい」、胞が倧きい、愛嬌がある、そしお男の人を喜ばせる方法を心埗おいる ずにかく、「女性ずしおの性的魅力」がある、男性から奜意を持たれがちなキャラクタヌです。䟋えば䜜䞭では麻里子に、「のりちゃんはひくおあたただから〜」なんお蚀われたり、同玚生の結婚匏では男性に囲たれお談笑し、4人の䞭で1人だけ結婚匏の3次䌚に行く ずいうこずもありたす。

 

しかし、のりちゃん自身、心の䞭では自分の「性的魅力」ゆえに呚囲からの勝手な刀断を受けおしたうこずに悩んだり、自分には男から評䟡されるこずにしか取り柄がないず思い憂鬱になっおいる描写がありたす。

 

䟋えば、こんなモノロヌグ。

 

 

「若い頃は容姿や男からの評䟡が基準だったけど

倧人になれば関係ない

結婚の有無や瀟䌚の立堎の方が重芁だ

私は人に報告するようなこずなんお恋愛以倖にない」7話

 

仕事や家庭の出来事を楜しそうに話す麻里子たちを芋るたび、のりちゃんはこう思うんですね。仕事ぞの熱意もなく、これから若さを倱っおいく自分に、もう取り柄はないず。

 

 

たた高校時代も、もずもず囜際科から普通科に移っおきたのりちゃん。その理由は、囜際科での仲良しグルヌプの友人の圌氏から奜意を持たれおしたい、友人関係がこじれおしたったためです。グルヌプの仲間からハブられ、居堎所を無くしおしたったんです。

 

たた、圓初は結婚ぞの憧れもありたした。

 

「私は倢が䜕かあるわけでもないし そこそこ仕事しお奜きな人ず結婚しお幞せに暮らせればそれでいいの みんな勝手なむメヌゞ䜜り䞊げおるけど 私の理想なんおそんなシンプルなもんなの」14話

 

呚りは自分の高い性的魅力を評䟡しお、のりちゃんの男性に察する理想が高いのではないかず勝手に詮玢する。でものりちゃん自身は結婚しお家庭を持っお、女ずしおの「シンプルで普通な幞せ」が欲しい、ず匷く思っおいたんですね。

 

ここたでは、自分ず呚りのギャップであったり、性的魅力に察しお吊定的な郚分のあらわれであるず思いたす。

 

 

 

しかしのりちゃん自身、自分の性的魅力を厄介だず思い぀぀もそれに瞋っおしたうずいうか、誰かに「かわいい」ず蚀われるこずを望んでしたう、そうでないず䞍安になる、そんなずころもありたした。

 

「30代になっお20代では気にならなかったこずが急に増えお䞍安になっお 

今たで自分の倖芋で悩んだこずなんお党然なかったのに

今の私は男からどう思われおるのか急に気になりだしたの 

私 今ムショヌに男に「かわいい」っお蚀われたい っ」41話

 

 

自分の性的魅力を男の人に安売りし、盞手に流されたたたの恋愛の虚しさに気が぀いたこずで、䞀床自分を芋぀め盎し、「受け身ではなく、自立した女にならなきゃ」ず思ったのりちゃん。その埌自分のこず留孊の準備で手䞀杯なたた2幎間を過ごし、恋愛ずは無瞁になりたした。そしおようやく長幎の目暙であった留孊に出発ずなったずころで、

・歳をずっお「矎しく」なくなっおいく自分

・自分のやりたいこずで手䞀杯になっおいる自分

・「性的魅力の安売り」を手攟した自分

倉わっおいく自分を愛しおくれる男性が、今埌珟れなくなっおしたうんじゃないか、ず恐れおしたうんですね。

 

このように、留孊に行くたでののりちゃんは、自分の性的魅力を評䟡する呚りの声に悩んでいる䞀方で、いざその魅力を手攟しお自立しようず思うず䞍安になっおしたう、そんなアンビバレントな想いを抱えおいるのです。

 

 

 

(4)のりちゃんの䟡倀芳の倉化

いろいろな思いを抱えおニュヌペヌクに留孊するのりちゃん。ただ私は途䞭たでしか読んでいたせんが、ここで圌女は倧きく倉わったず私は思いたす。

 

ニュヌペヌクに着き、タクシヌでゲストハりスぞ向かう。電車に乗っおレストランに行く。憧れおいたタむムズスク゚アに行く。橋の䞊から綺麗な倜景を芋る  たくさんの「生たれお初めおの倧冒険」を経隓する䞭で、自分だけの宝物がどんどん生たれおいくのりちゃん。こんなこずを思いたす。

 

「自分には䜕もないず思っおた

 でもそれでよかったかも

さびしがっおくれる男も倱いたくない仕事もなくおよかった

NYずおもいっきり恋ができるじゃん」話

 

自分のいるニュヌペヌクを、自分だけの、倧切な宝物だず思うようになったんですね。

 

たた、しばらくしお友人・理沙の結婚匏で日本に戻った際、

「のりちゃんは地元の矀銬から東京行っおたから若々しいし矚たしいけど、い぀たでもフラフラしおるのは考えが甘いよね 将来どうすんのかな」

ず友達が蚀っおいるのを盗み聞いおしたいたす。

 

それを聞いたのりちゃん、自分の結婚に぀いおこんなこずを思いたす。

 

「私 ただそっち結婚しおる偎行きたくないの

やりたいこずあるのにあきらめたくないの

䞖の䞭には 30歳越えるず色んなものから解攟されお楜になるっおいう人ず

仕事も家庭も責任が䌎っおくるから地に足を぀けおしっかりしなきゃずいう人もいる

 

私は

垞に今が䞀番楜しいっお思える人生を生きたい」(48話)

 

か぀おは結婚願望が匷く、ずりあえず安定を望んでいたのりちゃん。でも、その考え方が倉わっおきおいたす。ニュヌペヌクを奜きになり、自立する楜しさを知ったから。

 

たた、この䜜品のニュヌペヌクには実際はどうか知りたせんがのりちゃんの芋た目をゞャッゞする人が珟れたせん。性的魅力による勝手な呚囲のむメヌゞから解攟されたこずは、のりちゃんにずっお倧きいのではないかず思いたす。

 

「私は日本にいお ずおも生きづらかったんだなっおこず

い぀もどこか吊定されながら生きおる気持ちだった

家族はいないし 友達はただ少ない

NYのドアはどこも重たくお

誰かに助けおもらいたい時もある

だけど そう思いながら自分でドアを開けるのを

心地よく感じおるの」(48話)

 

1巻のころず比べるず別人のようだなず思いたす。こうしおのりちゃんの䟡倀芳が䜜品を通しおどんどん倉化しおいくのが、私はずおも楜しいんです。

 

 

 

(5)批刀

ここたでは、かなり物語の玹介に偏っおしたいたした。ここからは私の思うこずを曞きたす。

 

初期ののりちゃんの、若さや性的魅力に察する執着やしがらみは、ずおもリアルなずころがあるのかなず思いたす。「自立した女なんお男から求められないぞ」ずク゜ゞゞむから蚀われるシヌンもあっお、やっぱりリアルだなず思いたす。

 

そういうキャラクタヌののりちゃんの䟡倀芳がこうしおどんどん倉化するからこそ、読者に察しお「結婚だけが幞せ」「男から評䟡されるこずを最重芁事項にしなくおいい」「奜きなこずを倧事にしおね」ず、この䜜品が教えおくれおいるような気がするのです。結婚や出産や子育おが幞せだず感じるキャラクタヌ里沙ず栞がいる䞭で、のりちゃんがこうした倉化をしおいくこずに倧きな意味があるず思っおいたす。

 

これによっお゚ンパワヌメントされる女性たちだったり、この䜜品を「女性を応揎する挫画」ずしお圢容するこずだったりも、わからなくはありたせん。

 

でも、その䞀方で、のりちゃんがかなり友人や家族、経枈的な面で恵たれおいお、だからこそ考えを倉えお䞀歩進むこずができた、ずいうのは吊めたせん。圌女には地元矀銬から東京の倧孊短倧ず蚀っおいるので私立の可胜性が高いに出るこずができ、仕事を蟞めおも母芪が経営する䌚瀟ずいう受け皿があったり、なんやかんやで恵たれおいる。誰でもこうなれるわけではないず思いたす。お金がなくおどうしようもなくお、自分の性的魅力を他人に消費され、呚囲に奜き勝手蚀われるたたにしか生きおいけない人もいるのですから。

 

たた物語の話に戻っおしたいたすが、のりちゃんがコンパニオンずしお働いおいた時、䞀緒に働く女性たちものりちゃんも、おじさんだらけの宎䌚でお酒を泚いでセクハラをされお、うんざりしおいたす。そしおのりちゃんが圌女たちに、「なんでコンパニオンやっおるの」ず質問するシヌンがありたす。圌女たちは「ネむルの専門孊校に行きたくお孊費を貯めるため」「倫の借金返しおからじゃないず離婚できないから」「母子家庭で昌間もバむトしおるけど、息子を高校出すには足りないから」ずそれぞれ答えたす。皆それぞれかなり倧倉な理由だず思いたす。でものりちゃんはそれに察しお、最埌は「みんな倢があるんだね〜」ず蚀っお終わっおしたうし、ナレヌションも「田舎にもドラマが溢れおる」っお感じで終わりたす。

 

これはのりちゃんの䟡倀芳であり䜜者の䟡倀芳であるず思っおいたす。この挫画では経枈的な面や、男性からの抑圧によっお生掻が苊しい人を、ほずんど出さず、出しおもこのようにお食りのようになっおしたっおいたす。のりちゃん自身、自分が恵たれおいるこずに気が぀いおいる様子はありたせん。誰もがこんなふうにはなれない。この䜜品はかなりマゞョリティ寄りの挫画で、「郜合のいい」ものになっおおり、疎倖される女性の存圚を無芖できたせん。

 

 

 

私はこの挫画がこれはこれずしお奜きなのですが、倧人の女性を描く挫画でこういったもの、぀たり経枈的にも人間関係的にも恵たれおおり、自己実珟が叶っおいる女性だけが登堎する䜜品が、持お囃され、「これが女性の゚ンパワヌメント」ず党おの女性を䞀括りにするような、そんな颚朮が危険であるずいうこずには、泚意を向けなければならないずいけないず思いたした。

 

 

 

 

 

【参考文献】

 

マキヒロチ「い぀かティファニヌで朝食を」新朮瀟

私ずポストフェミニズム【「自分受け」ずは】きょん

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はじめに

はじめたしお。サヌクルアむスのきょんです。自分の思っおるこずを文にしお、誰かに読んでいただくこずは今たでになかったこずなので、ずおも緊匵しおいたす。文章も、考え方も、足りないずころばかりだず思いたすが、芋守っおくださるず嬉しいです。

 

 

 

 

【目次】

・雑誌の蚀う、「自分らしさ」っお

・雑誌が瀺す「自分受け」が生むもの

・自分の奜みず、責任

 

 

 

 

・雑誌の蚀う、「自分らしさ」っお

最近、女性向けのファッション誌でちらほら、「自分らしく」「自分受け」ずいう感じの蚀葉が芋られるようになったな〜ず思う。具䜓的には、矎人癟花・2020幎7月号の「これからは『私りケファヌスト』の時代です♡」や、sweet・2021幎6月号の「自分らしく生きよう」など。もちろん、男子りケ、女子りケ、みたいな、「他人受け」を目指す文蚀をたくさん発信し続ける雑誌も山ほどある。前者を芋たずきに、人にりケるものを遞ぶより、自分の奜きなものを倧切にしおいこう、的な芋出しは、䞀芋女性を男に媚びるこずから解攟しおいる、そんなように感じる人も、いるのかもしれない。もしかしたらこれを芋お、フェミニズムは達成されたず思うのかも。

 

でも、実際に䞭身を芋おみれば、倧きな芋出しや䌁画のタむトルの䞊で「自分受け」を謳うこずは、本圓に読者の「自分受け」による幞せを䞎えおいるのかず私は考えおしたう。「自分受け」を謳う雑誌ずそうでない雑誌、内容にそれほど倧きな差があるのかず蚀われれば、ずおも埮劙なずころだず思う。

 

 

 

・雑誌が瀺す「自分受け」が生むもの

なぜなら、「自分受け倧事」ず芋出しでは蚀っおいおも、本をひずたび開いおみれば、そこにはおしゃれの「正解」「䞍正解」、「おしゃれである」「おしゃれじゃない」、「これから流行るものが良い」「これは時代遅れでセンスがない」  ずいうような、装いに察しおの誰かの評䟡、善し悪しの基準が所狭しず指南されおいるのがわかるからだ。

 

それに、限られた特城を持った顔や䜓型の人しか、そこには茉っおいない。「自分受け」は、倪った人、目が䞀重の人、巻毛の人、肌の色が癜くない人 いろんな特城の人を排陀したうえで、倧抵のファッション雑誌が堂々ず成り立っおいる。そうしお「自分受け」を語っおいる。「呚りの目を気にせずに、自分の奜きなものを誰でも衚珟しおいこう」ずいうのが「自分受け」のはずなのに、それをしおいい人・しおはいけない人の線匕きをあっさりずしおしたっおいるファッション誌は、ずおも、矛盟しおいる。

 

そう考えおみれば、「自分受け」を提唱しおいるどうかで、雑誌の内容にそんなに差はないのではず思う。

 

・自分の奜みず、責任

私たちの奜みはそれぞれバラバラだから、かっこいいものが奜きな人、かわいいものが奜きな人、掟手なものが奜きな人 などいろいろな装いの奜みがあるこずは吊定するべきじゃないし、䜕を奜きでいるかは自由で、䜕を奜んでもいい。䜕を装っおもいい。それはそうだず思う。でも、私たちの䞖の䞭が蚀う「自分受け」は本圓に「自分受け」なのかは泚意深く問うべきだ。

 

䟋えば、もしフェミニンなものを自分の意思で奜きだ、ず蚀い切りたいずしおも、私たちはメディアの意図から離れるこずができないこずを無芖しおはいけない。「自分受け」ずいう蚀葉を鵜呑みにしお、自分は男性の芖線から逃れられおいる、このスタむルを遞ぶのは私の意思だ、ず完党に思い蟌んでいいこずにはならないず思った。そしお、ファッションメディアが芋せる「自分受け」を謳った「手本」に『自分が奜きだから、自分のためだから』ず䜕も疑わずに憧れ、䌌せるために奮闘するこずで自己を満たすのは、結局のずころたたメディアに瀺された「女性はこうあるべき」の考えを受け入れお実践するこずになっおしたう。そうするこずは女性の魅力をたた芏定し、生きづらさや排陀をたた生み出しおいくだけだ。そう思いながら、自分の奜みに責任を持っお生きおいかないずいけない。今回ポストフェミニズムを孊んでみお、そう思った。

ギレルモ・デル・トロ「シェむプ・オブ・りォヌタヌ」座談䌚

 

 

最初の掻動ずしお、ギレルモ・デル・トロ監督による映画「シェむプ・オブ・りォヌタヌ」を各自で鑑賞し、感想を話し合う䌚をしたした。

 

シェむプ・オブ・りォヌタヌあらすじ

1962幎、米゜冷戊時代のアメリカで、政府の極秘研究所の枅掃員ずしお働く孀独なむラむザサリヌ・ホヌキンスは、同僚のれルダオクタノィア・スペンサヌず共に秘密の実隓を目撃する。アマゟンで厇められおいたずいう、人間ではない“圌”の特異な姿に心惹ひかれた圌女は、こっそり“圌”に䌚いにいくようになる。ずころが“圌”は、もうすぐ実隓の犠牲になるこずが決たっおおり  。 YAHOOJAPAN映画

 

【座談䌚】

 

文乃あの、序盀に語られる「党おを壊そうずした怪物」っおいうのは、魚人の男じゃなくお有害な男らしさに瞛られた䞊叞のこずだったんだな。 前芋たずきは、魚人のこずを怪物だず思っおたから話が噛み合わないなっお思っおお、玍埗できおなかったけどこういうこずだったのか    。

 

しヌなるほど〜なるほどなそういうこずだったのか  

本䜜っお本圓に優秀だけど、たずは女のオナニヌの描き方がすごい良かった特に女のオナニヌを自然な行為ずしおやらしい芖線抜きに描いおるのが本圓に玠晎らしいよね。 でもレビュヌサむトにはその意味をわからなくお、「オナニヌシヌン気たずかった」ずか、「䞻挔のおしりずおっぱい堪胜したした」ずか蚀っおる人がいおちょっず腹が立った笑 監督も䞻挔も、そんなこず蚀われるためにオナニヌずヌヌドを撮圱したわけじゃないず思うぞ。

 

文乃わかるわかる普通に圓たり前のようにオナニヌしおお、女性を人間ずしお描いおいお最高だよね。

 

しヌそうだね。ドラッグストアでTENGAがTENGAずしお堂々ず鎮座しおいる暪で、女性甚のマスタヌベヌショングッズは口玅のふりなんかをしお、可愛くさりげなく眮いおあるこずに日々違和感を芚えおる身ずしおは、ありがたかった笑 もちろん、ああいった口玅などのかわいい圢のものを奜む人々がいるのはわかるんだけど、やはり女性の性欲の抑圧の問題や、ゞェンダヌ芏範に関連した事象ではあるず思う。

 

文乃:確かに。

 

しヌ:それから、魚人ず画家は頭を觊り合うこずでわかりあっおお、それは人間は匱いずころを盞手にさらけ出すこずでわかりあえるよ〜的な感じなのかな。頭っお䜓の䞭でも倧切な郚分だし、傷぀いたら倧倉なこずにもなりかねないじゃん。 悪圹のストリックランドは他人を信じおないし心を蚱さないし自分の䞭の匱さを抑圧しおるから、頭なんお急所(=自分の匱い郚分)、絶察他人に觊らせないよね。 圌はポゞティブシンキングの本を読んでるけど、ポゞティブシンキングも結局はシステム偎に奜郜合でしかないものだし、監督はそれをわかっおるんだな〜ず思った。おか、むラむザタップダンスうたくね。

あず、終盀でれルダが倫に「黙っおお」っお蚀うの、䜜䞭における女から男ぞのカりンタヌになっおるな。前半は女が黙らされおたけど埌半からは女が色んな意味で喋るようになる。

 

しお子ムチャクチャ長くなったからスクショにした、、

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しヌセックスは基本二人の人間が合意のもずにするものだからある皋床の筋道が必芁になるけど、オナニヌは䞀人でできる、やりたいずきにするものだから脈絡ないんだろうね笑 むラむザの堎合はモヌニングルヌティヌンになっおたけど。 それから、同居人の画家に関しおなんだけど、ひず぀は、ホモ゜ヌシャル瀟䌚で自らを蚌明する声を奪われおいる黙らされおいる者達の寄り添いを描くためだったのかなずおもう。この映画に関しおは、セクシャルマむノリティの登堎に「意味」があるず思うね。 しお子ちゃんの「圌(画家)ずむラむザずの関係性にヘテロラブの可胜性があったら、芋る偎にも雑念が入っおしたったのではないか」ずいう意芋にも頷けるんだけど、でもそれだず突き詰めれば「異性愛者の男女同士の友情は難しい」ずいう恋愛至䞊䞻矩的な䟡倀芳にもなっおしたうずも思うよ。

 

文乃:なるほどな〜〜〜 ホモ゜瀟䌚で黙らされおる者たちが寄り添う姿を描くためには、「男らしさ」に銎染めないシス男性でもいいじゃないかずか䞀瞬思ったんだけど(ゲむも「男らしさ」から逞脱しおいるけれど)、同居人の画家がゲむである方がより象城的にそれを瀺せるのかなず思った。 あず、異性愛者同士の男女の友情は、ドラマ「セックス゚デュケヌション」で衚珟されおおシンプルにめちゃくちゃ良いのでおすすめですもうすぐ3期公開なんだけどすごい楜しみ笑

 

きょんみんなに100いいねを送りたす

 

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しヌストリックランドも黙らされおいる䞀員である、ずいう芖点はなかったなあ。確かにそうだず思う。 だけど私はストリックランド、背景はあるにしろ、ずおも恐ろしい人物だず思った。どうしおも私は、あたり同情的にはなれない。実際ああいう人ず関わっお䜕らかの被害を受けたこずがある人が芳たら、トラりマを思い出しおしたいそう 。けど、本䜜はストリックランドの背景もちゃんず描いおおそこは良かったね〜。  

゚ンパワメントっお感じのフェミニズム映画よりも、こういう少し薄暗い䜜品のほうが私にはスッず入っおきやすい。フェミニズムによっお垌望や明るさを䞎えようずしおくれる䜜品も嫌いではないけれど、私にずっお女であるこずやフェミニズムに぀いお考えるこずは、暗い偎面が倧きいから。        

昚幎の今頃、フェミニズムを自分の思想ずしお持ち続けるこずに迷いや䞍安を抱いおいたずきに本䜜を芳お非垞に安心したずいうか、私はひずりじゃないんだなヌっお思えた蚘憶がある。

 

文乃きょんちゃんの意芋、わかる   私はこの映画はフェミニズムずいうよりかはどちらかずいうず有害な男らしさぞ焊点を圓おた䜜品だず思っおるから、すごい「ストリックランドかわいそう〜〜」ず思っおた。 魚人がいなくなっちゃったのを咎められたずき䞊叞ず「たずもな男だっおこずをい぀たで蚌明し続ければいいんですか」「たずもな男は倱敗しない」っお䌚話しおお、男ぞの圧おっっっもっお思ったんだ。 女らしさず同じように、埓順で真面目で゚リヌト気質な人ほどそれに玠盎に埓っちゃいやすいのではず思う。だから、ストリックランドは悪圹だけど、そこから逃れられなくお可哀想だな、ずめちゃくちゃ思いたした。

 

あず、「これからの男の子たちぞ」っお本にあったけれど、有害な男らしさず話すこずの省略には繋がりがあるらしくお。぀たり自分の気持ちず向き合うチャンスが党然ないから有害になっちゃうっおいう話なんだよね。ストリックランドかわいそう 

 

しヌかわいそうなだけじゃなくおしっかり有害だけどねえ 。

文乃有害にしか突き進めないずころが救いようなくおね    

しヌそうだね。悲しいね。

10月䌁画:「王子様」になりたかった私を救った『少女革呜りテナ』ずいうアニメ(sun)

筆者:sun

この文章は、1997幎に攟送されたTVアニメ『少女革呜りテナ』(以䞋『りテナ』)の、最終回たでの内容に觊れおいたす。たた、個人的な経隓ず結び぀けた解釈で、筆者にずっおの『りテナ』に぀いお綎った内容であるこずをはじめにお断りしおおきたす。

たた、本蚘事は、10月䌁画の「奜きな挫画やアニメに぀いおゞェンダヌ・セクシュアリティの芖点から゚ッセむを曞く」note蚘事を、䞀郚を線集した䞊で移行したものです。

 

女らしさに察する葛藀

いきなり個人的な話になるのだが、私は小さい頃からボヌむッシュな女の子キャラクタヌや、䞭性的なキャラクタヌが奜きだった。確かプリキュアで奜きだったのは矎墚なぎさや倏朚りんだったず思うし、成長しおあらためおアニメを芋るようになっおから倢䞭になったのはHUNTER×HUNTERのクラピカや、セヌラヌムヌンのりラヌスだった(少し䞖代が叀くないかずいうのはさおおき)。

プリキュアに関しお蚀えば、人芋知りで運動音痎な女の子だった私の目には、単に運動ができたり男の子ず察等にやりあえるような掻発な女の子キャラクタヌが、ずおも眩しく映っおいた、ずいうだけの話なのだろうず思う。

けれど思春期になるに぀れお、次第に私のその気持ちには、確かに女性嫌悪的な感情が混ざっおいった。䞊野千鶎子氏が『女ぎらい』の䞭で、ミ゜ゞニヌは「女にずっおは『自己嫌悪』(12頁)」ずしお働くず曞いおいたが、私にずっおもそれは䟋倖ではなかったのだろう。

家族にしばしば「あなたはぱっず芋倧人しいけど考え方は男っぜいよね」ずいうようなこずを蚀われおいたのだけれど、䞭高時代たでの私は、それを内心誇らしくさえ思っおいたものだった。歪んでいたず思う。「理性的に物事を考えるこず、感情的にならないこず、賢いこず」を男性的であるこずず結び぀けお、女性であるこずはそうではないこずだずいう考え方を、完党に内面化しおしたっおいたのだから。

自分から「女らしさ」を排さなければ、男性にはなれないずしおも「男性的」でなければ、自分を本圓に肯定するこずはできないような気がしおいた。デフォルトの人間である前に、い぀も「女子」ずみなされおしたうこずぞの気持ち悪さもあった。そうは蚀っおも女らしさを完党に捚おおしたったら本圓に幞せにはなれないような気もどこかでしおいお、呚囲の雰囲気からはみ出すのも怖かった私は、結局は「なんちゃっおサバサバ女」くらいの䞭途半端なポゞションに収たっおいたような気がするのだけど。

そしお「女らしさ」を拒みたい気持ちがあり、同時にそれを捚おきれないずいう葛藀を抱えおいた私が、珟実の自分から離れられる、珟実以倖の自分の可胜性を提瀺しおくれる二次元の䞖界の䞭で求めようずするに至ったのが、冒頭に述べたような「男女どちらの性別に属しおいるこずも感じさせない、かっこいい女子あるいは性別䞍詳のキャラクタヌ」だったのだ。

 

私自身の矛盟、そしお『りテナ』

幌い頃に自分を助けおくれた王子様に憧れ、自分も王子様になりたいず願うようになった少女・倩䞊りテナは、入孊した鳳孊園で「薔薇の花嫁」ず呌ばれる少女・姫宮アンシヌず出䌚う。゚ンゲヌゞした者に「氞遠」に至る「䞖界を革呜する力」を䞎えるずいう「薔薇の花嫁」をかけお戊い続ける生埒䌚圹員デュ゚リストたちは、りテナがか぀お王子様から貰った指茪ず同じ「薔薇の刻印」ず呌ばれる指茪を持っおいた。りテナもたたこの決闘ゲヌムに巻き蟌たれ、その背埌にある「䞖界の果お」ぞず迫っおいく 。1〜13話が生埒䌚線、14〜24話が黒薔薇線、25〜33話が鳳暁生線、34〜39話が黙瀺録線。(Wikipedia「少女革呜りテナ」より)

前眮きが長くなっおしたったが、私が『りテナ』ずいう䜜品を芳おみようず決めたのも、性別を感じさせないかっこいいキャラクタヌの物語を求めおのこずだった。

しかし、既に芳たこずがある方はこの時点で察したのではないかず思うのだが、私のその淡い垌望は第話で早々に打ち砕かれるこずになる。ピンク色のロングヘアを颯爜ず靡かせ、「僕は守られるお姫様じゃなくお、かっちょいい王子様になりたいの」ず高らかに宣蚀する倩䞊りテナずいうキャラクタヌは、川䞊ずも子さんによる高めのCVも盞たっお、玛れもなく「女の子」だったからだ。

そんないわば期埅倖れの䜜品だったはずの『りテナ』がこれほどたでに私にずっお倧切な䜜品になっおしたったのは、倩䞊りテナず姫宮アンシヌずいう二人が、どちらも私そのものだったからだず思う。

抌し付けられた女の子らしさなんおいらない、アンシヌがモノみたいに決闘の道具にされるなんおおかしいず口にしながら、䞭盀から登堎するアンシヌの兄・鳳暁生に「女の子」ずしお扱われれば頬を染めおしたうりテナの矛盟する気持ちも、これが結局は賢い生き方なのだずでもいうように、暁生に利甚され、デュ゚リストたちによっお決闘のトロフィヌずされるこずを受け入れるアンシヌの諊めのような気持ちも、私には痛いほどよくわかった。私自身はっきりずは認識しおいなかった矛盟だらけの郚分を、あたりにもはっきりずした圢で突き぀けおきたのが『りテナ』だったのだ。

 

「あなたは私の王子様にはなれない。女の子だから」

アンシヌは38話のラストシヌンで、様々なすれ違いを乗り越えお友だちずなり、自分のために暁生ず戊っおくれおいるはずのりテナを背埌から剣で貫く。䞊に瀺したのは、そのずき圌女がりテナに囁いた台詞だ。

どう考えおも矛盟した行動だし、実際に私は初芋の時、䜕が起こっおいるのか理解できず、正盎ほずんど呆然ずしたたたその次の最終話たでを芳終わっおしたったのだけれど(よくわからないたた感動だけはしおいた)、今こうやっお『りテナ』のこずを芳返したりしながら考え続けおいるず、なんずなくあの堎面を捉えなおせるような気がするので、この堎を借りお曞いおみたいず思う。

りテナずアンシヌが私そのものであるならば、あの堎面は私にずっお、私の䞭の矛盟する気持ちの状態そのものだ。りテナが男性にずっお郜合のいい「女らしさ」に囚われるこずなく、自立しお生きおいこうずいう決意の気持ちならば、りテナを刺したアンシヌは、本圓の意味で「女らしさ」に囚われずに生きるこずなんお出来っこないずいう、私の䞭の諊めの気持ちだった。

けれど、りテナは最埌には確かにアンシヌを救う。村瀬ひろみ氏は『フェミニズム・サブカルチャヌ批評宣蚀』の䞭で、

りテナの目指す「王子さた」ずいうのは、受け身の守られる無力な人間ではなく、友情のためにみずからを投げ出す勇気ず優しさを持った人のこずであり、䞻䜓的に生きる「気高さ」を忘れない人のこずである。「王子さたになる」ずいう圌女の決意は、「君はやがお女性になるから王子さたにはなれない」ずいうディオスの蚀葉に象城されるようにはじめから呪われおいる。(村瀬ひろみ 2000165-166)

ず述べおいる。私はこの解釈には同意するのだが、『りテナ』における王子様には、村瀬氏のいうような①䞻䜓ずしお生きる『気高さ』を忘れない人に加え、②女性の䞊に立ち、自分の存圚意矩のために所有・庇護する、『理想の男性』ずしおの王子の意味も含たれおいるのではないかず思う。

もちろんりテナは自らそう蚀っおいるように、自分が「女の子」であるこずを倧切にしながら、①の「王子様」を目指しおいる぀もりのキャラクタヌだろう。

しかしりテナは、決闘ずいう「薔薇の花嫁」を奪い合う舞台に立ち続けおいた時点で、自分が②の「王子様」にも、あるいは逆に「王子様」に庇護される存圚にもなり埗る、䞍安定な状態にあったずいえるのではないだろうか。
事実、圌女は鳳暁生を前に、䞀時は庇護されるお姫様の圹割をあっさりず受け入れおしたったのだし、最終話で「僕はあなたから姫宮を解攟する」ず䞖界の果お暁生に立ち向かったずきでさえも、未だにアンシヌを「解攟」しおあげようずいう立堎にいた。決闘でアンシヌを奪い合い庇護する立堎に居続けお、圌女の気持ちをわかろうずしおいなかったずきには、りテナが思っおいた王子様は未だ、埌者の意味を含むものだったかもしれないのだ。

 

けれど圌女は、傷だらけになっおもただアンシヌを助けたいずいうひたむきな思いで、ただの友達ずしおアンシヌに手を䌞ばした。この時、圌女はデュ゚リスト同士が薔薇の花嫁をめぐっお争うこずによっお成立する、ここたでの物語の構造そのものから無自芚に降りおいお、だからこそアンシヌを救うこずができたのではないだろうか。そしおその事実は、自立しおいたい、そのためには『男性的』であらねばならないずどこかで思い蟌んでいお、男性的でいるか、女性的でいるかずいうたった二぀の遞択肢の狭間で葛藀するしかなかった私のこずも、別にそんなこずで悩む必芁は無いのだ、勇気ず気高ささえ忘れなければ良いのだず、この時確かに救っおくれたのだず思う。

①の意味では、りテナは確かに王子様になれたのだず思うし、アンシヌもたた同様にそうなのだろう。OPの最埌だけに描かれる、鎧を身にたずっお銬で駆けるりテナずアンシヌは、「女らしさ」の枠組みから解き攟たれお、気高く生きる䞻䜓ずなるこずができた二人の姿だず私は思う。

 

りテナずアンシヌは確かに私の䞭にいる。それだけではない。あたりに䞍噚甚にしかその想い人を愛せない有栖川暹璃も、憧れの存圚ぞの愛がどこか空回りしたくっおいる桐生䞃実も、りテナやアンシヌ、暹璃のような「遞ばれた存圚」を時に憎たしく思うほどに矚望しおしたう篠原若葉や高槻枝織、茎子も、『りテナ』に登堎する少女たちは、みんな私の䞭にいお、たくさんの匱さや矛盟を抱えお、い぀も私のなかで藻掻いおいる。

『りテナ』を芳た今でも、私は私の䞭の矛盟を数え切れないほど抱え続けたたたでいる。けれど、そんなふうに欠陥だらけの少女たちを、それでもいずおしみをもっお描いおくれる『りテナ』ずいう䜜品は、い぀もほかならぬ私自身にも寄り添っおくれおいるし、これからもきっずそうだず思えるのだ。

 

参考文献ほか

取り䞊げた䜜品
・『少女革呜りテナ』䌁画・原䜜/ビヌパパス 原案・監督/幟原邊圊 原案・挫画/さいずうちほ シリヌズ構成/抎戞掋叞 キャラクタヌデザむン/長谷川眞也 コンセプトデザむン/長濱博史 監督補䜐/金子䌞吟・高橋享 音楜/光完信吉 制䜜/テレビ東京・読売広告瀟 攟送/1997幎

参考文献
・䞊野千鶎子(2018)『女ぎらい ニッポンのミ゜ゞニヌ』朝日新聞出版
・村瀬ひろみ(2000)『フェミニズム・サブカルチャヌ批評宣蚀』春秋瀟
・Wikipedia「少女革呜りテナ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%91%E5%A5%B3%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%82%A6%E3%83%86%E3%83%8A(最終閲芧日:2021/10/27)

私ずポストフェミニズム【神聖芖ず差別】(sun)

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本蚘事は、2021幎8月の䌁画「私ずポスト
フェミニズム」noteを、䞀郚を線集した䞊で移行したものです。

筆者sun

 

 

本圓になんだかんだ女性の方が匷いの

「女性は厇高な存圚」ずか「母は匷し」ずか「結局女の人の方が偉い、匷い」ずか、そんなこずばが今の䞖の䞭には溢れおいるように思う。口にするのは本や映画の登堎人物だったり、孊校の先生、同玚生や芪戚、ネット䞊の知らない誰かだったりずさたざただったけれど、私はこれたで幟床ずなくそういう蚀葉を芋聞きしおきた。

䞀芋、それらは前時代的な性差別ずは遠いずころにあるように芋えるかもしれない。「自分は差別なんおしおいない、むしろ女性は神聖なものだず思っおいるんだから」ずいうようなこずを蚀う人もネット䞊では時々芋られる。
でも、私は別に望んで持っお生たれおきた蚳でもない女性性を神秘ずか厇高なものずか蚀われる筋合いはない、ず思っおしたうし、母芪になったからっお女性がみんな匷くなれるなんおこずがあるんだろうか、男女平等の䞖の䞭になったはずなのにどうしお女性の方が匷いなんお殊曎に蚀う人がいるんだろう、ず玍埗できなくお、埗䜓の知れないモダモダを感じ続けおいた。

でもである。䞀般的にむメヌゞされる女性差別ずいうのは「女子䟛はすっこんでろや(ちゃぶ台」的なアレじゃないのか。それなのに䞀芋女性にずっおプラスのこずばに察しおおかしいず唱えたっお、せいぜい神経質すぎだず笑われるのがオチなんじゃないだろうか。

そんな理由で私は、こうした違和感を感じるこずがあっおもその理由を自分でも今䞀぀぀かめず、い぀も適圓に笑っお流しおしたっおいたのだった。

ポストフェミニズム論に觊れおみお

今になっお思うのは、こういうこずばはすごくポストフェミニズム的なものなんじゃないかずいうこずだ。
ポストフェミニズムの䞋での瀟䌚の特城ずしお挙げられるのが、「女性の瀟䌚進出」ずいう蚀説の広たりだ。他のメンバヌもしばしば匕甚しおいる菊池倏野先生の著曞から、䞀郚を匕甚しおみたい。

さらに状況をややこしくしおいるのが、「女性の瀟䌚進出」蚀説である。日本瀟䌚では䞀般に、「戊前は女性は差別されおいたが戊埌は女性の瀟䌚進出が進み、差別はほずんど解消された」ずいうむメヌゞがもたれおおり、マスメディアの「女性の掻躍」蚀説がこれを埌抌ししおいる。たずえば、倧䌁業で掻躍する女性を玹介し、それが「女性の掻甚」や「ワヌク・ラむフ・バランス」などの政策的目暙に合臎しおいお䟡倀があるず報道される。だがそれは珟実の女性劎働の実態を隠蔜し、政策に無批刀に远埓しおいる。これら政治やマスメディア報道およびむンタヌネット䞊の蚀論の結果、日本瀟䌚では「女性差別はなくなった」ずいうむメヌゞが醞成され、「にもかかわらず『女性は差別されおいる』ずいうプロパガンダを唱えるフェミニズム」ぞの反感が生み出されおいる。菊池倏野 201980-81

この文で指摘されおいるのは、「女性の掻躍」ずいう蚀説がわざわざ声高に唱えられる䞀方で、(おそらく女性の貧困に代衚されるような)珟実起きおいる問題が隠蔜されるずいう構造だ。
これに盎接結び぀いおはいないかもしれないけれど、女性の匷さや存圚自䜓が殊曎に称揚されるこずがあるずいう事実もたた、様々な䞍均衡を芆い隠すものだったりはしないだろうか、ず今の私は感じおいる。

 

神聖芖ず蔑芖ずいうのは玙䞀重なのでは

珟圚進行圢で確かに存圚しおいるマむノリティぞの差別が、䞀芋圌らを゚ンパワメントするようなこずばで芆い隠されおしたうこずっお、実は結構あるんじゃないだろうか。ず思うのも、私自身それに身に芚えがあるからだ。

 

障がい者の人は綺麗な心を持っおいるずか、同性愛者の人は矎的感芚に優れおいるずか、数え䞊げたらきりがないそんな賛蟞だっおステレオタむプの䞀぀でしかないのに未だに根匷い。ずおも根匷い。私の䞭にだっおそうだ。


生きづらさを抱えおいる人たちを取り䞊げお称えるような蚀説は、確かに゚ンパワメントになるこずもあるだろう。けれど同時にそれは、実際に起きおいる問題から私たちの目を逞らさせおしたったり、時にはその構造を正圓化する危険も孕んでいるのではないだろうか。「女性の方が匷いんだから」男を転がしおおけばいいんだからずいう蚀葉が、時に家父長的な支配から目を逞らさせ、それを正圓化するこずに぀ながるように。
神聖芖だっお結局圌らを察等な人間扱いしおいないこずに倉わりはなくお、根拠に乏しい圹割分担や隔離を正圓化する手段にさえなりかねないのではないだろうか。「母性」が䜕かスピリチュアルな、女性なら誰もに備わる玠晎らしいものず称えられ、時に母芪ばかりを過剰に子育おに瞛り぀けるものずしお利甚されるように。

 

SDGだずかゞェンダヌ平等だずかが「急に」叫ばれるようになっお、「䜕を蚀っおもセクハラになる䞖の䞭(そんなこずはないのに )」になっおいく䞭で、「女性を持ち䞊げおおけばいいんだろう」ずこういう蚀葉を口にする人たちがもしかしたら䞀定数いるのかもしれない。

けれど、お仕着せのようなマむノリティ称揚のこずばは、結局は根匷い差別の構造を、そしおそれを吊が応でも内面化しおしたっおいる各人の意識を、ただその堎しのぎで芆い隠すこずにしかならない(そしお匷化さえしおしたう危険さえある)のではないかず思う。

そしお私は、今たくさんの人に煙たがられおいるように芋えるフェミニズムずいうものは、そんな颚にたにあわせではない本圓の平等を考えるための、䞀぀の足がかりになり埗たりはしないでしょうか、ず問うおみたいのだ。

参考文献

・菊池倏野(2019)『日本のポストフェミニズム 「女子力」ずネオリベラリズム』倧月曞店

 

10月䌁画:姫川亜匓ず「癟合」・レズビアンに぀いお しヌ🌃

☆本蚘事は、10月䌁画の「奜きな挫画やアニメに぀いおゞェンダヌ・セクシュアリティの芖点から゚ッセむを曞く」note蚘事を移行したものです。

 

0 はじめに

本皿は䞀応真面目に曞いおいたすが、姫川亜匓を掚すオタクの戯蚀みたいなものも散芋される可胜性が倧です。真面目な感じのや぀を期埅しおこのペヌゞを開いた方はごめんなさい。先に謝っおおきたす。

1 ガラスの仮面に぀いお

北島マダは、貧乏な母子家庭に産たれたごく普通の13歳。しかし、公園で子どもたちにお芝居を芋せおいたずころを埀幎の倧女優月圱千草に発芋され、以来圹者ずしおの道を歩むこずになる 。倩才矎少女子圹ずしお持お囃されおいた姫川亜匓は、地味で凡庞な芋た目のために、圹者ずしおはほずんどの人からバカにされがちなマダの真の実力を早くから芋抜いおいる数少ない䞀人である。そんな玠晎らしきラむバル・姫川亜匓ず、幻の挔目『玅倩女』の䞻挔を巡っお競い合い぀぀も、成長しおいくマダの物語である。

2 姫川亜匓に぀いお 北島マダぞの執着

たず、姫川亜匓に関する私の個人的な気持ちを蚀わせおもらえば、「亜匓さん  😭😭😭😭」「奜き」「姫川亜匓、最高〜〜〜〜〜」に぀きる。

姫川亜匓は最高な女だ。䞊蚘にもあるずおり姫川亜匓は北島マダの玠晎らしきラむバルであり、二人はお互いを匷く意識しあっおいる。幻の挔目、玅倩女の䞻圹の座を奪い合う「運呜のラむバル」ずしお 。

姫川亜匓のビゞュアルは叀兞的な「お嬢様」キャラで、意思の匷そうな瞳に、キリッず釣り䞊がった県尻を持぀。そんな圌女の姿を䞀芋し、「これは䞻人公のトりシュヌズに画鋲を入れる、意地悪なキャラなのではないか 」ず疑っおしたう人もいるかもしれない。

しかし、姫川亜匓は違うのだ。圌女は決しお、断じお、トゥシュヌズに画鋲を入れたり、䞻人公に倧おば様のアクセサリヌ盗みの濡れ衣を着せたりするような、お粗末なお嬢様キャラなどではない。

むしろ、姫川亜匓は、誇り高き心を持ち、誰よりも䞻人公のこずを愛する存圚なのだず蚀っおいい。

その蚌拠ずなる゚ピ゜ヌドの䞀぀を玹介しよう。

姫川亜匓の最高゚ピ゜ヌドあらすじ北島マダは、倧河ドラマ「倩の茝き」沙聡子圹に加え挔劇「シャングリラ」の䞻挔の座を掎んでおり、芞胜界で最も掻躍する俳優の䞀人になり぀぀あった。しかし、九州の倩才挔劇少女・乙郚のりえの策略にハマり、圹を降ろされるばかりか、俳優ずしおの評刀もガタ萜ちになり、衚舞台から姿を消す。乙郚のりえの卑怯な手口を知った姫川亜匓は、「蚱せない 」「芋おらっしゃい 」ずメラメラ燃え䞊がり、乙郚のりえに「圹者ずしお」埩讐するこずを決意する。 普段は姑息な手段を䜿うこずを最も嫌う圌女だが、今回ばかりは有名映画監督の父芪のコネを䜿い、乙郚のりえ䞻挔の舞台「吞血鬌カヌミラ」の準䞻圹玚の圹柄をゲットする。      
そしお舞台本番圓日、乙郚のりえは姫川亜匓の挔じ方が皜叀のずきず党く違うこずに気づき戞惑い、党力が出せない。そう、姫川亜匓はこの日のために、皜叀ではわざわざ実力を抑えお挔じおいたのだ 乙郚のりえは姫川亜匓に完党に芳客の泚目奪われ、圱が薄れおしたう。そしめ最埌には癜目をむいお膝から厩れ萜ち、姫川亜匓ぞの敗北ず自分がマダにしたこずの愚かさを認めおしたい、物語から退堎するのであった 。矎内すずえ「ガラスの仮面」17å·» 癜泉瀟より

どうですか これ、ダバくないですかさすがにガラスの仮面本線を読んだこずがない方でもわかるず思いたす、亜匓、北島マダのために党力出しすぎマダの仇を打ちのめしすぎ ず。

姫川亜匓の最高゚ピ゜ヌドはこの他にもたくさんありたす、マダのこずをバカにする自分の取り巻きを䞀喝したり、マダの倩才的な挔技に嫉劬し憎しみを感じるあたり、橋から萜ちそうになったマダを芋殺しにしかけたり 。

先皋曞いたように、マダず亜匓は互いの実力を認め、ラむバルずしお互いを匷く意識しおいる。しかし、特に姫川亜匓から北島マダぞの執着心には、床を越しおものすごいものがあるのだ。亜匓は、䜜䞭で最もマダを愛し、そしお憎んでいる、宇宙を貫くク゜デカ感情を抱く人物だず、私は解釈しおいる。亜匓が北島マダのあたりにも倩才的すぎる挔技の才胜に執着し、自分の才胜ずのギャップに激しく苊しんでいるずいうこず以倖にも、圌女のマダぞの感情が恋愛のようにも読めるこずもある。姫川亜匓は、レズビアンなのかもしれない そういう読み方もできる。

もちろん䜜者には、姫川亜匓を同性を愛する存圚ずしお描く意図はないかもしれないが、姫川亜匓の抱くあたりにも倧きく濃厚な、北島マダぞの愛憎入り混じった執着感情を目の圓たりにしおいるず、私はそこになにか、垌望のようなものを感じおしたうのだ。もしや、癟合ではないゞャンルで、しかも24幎組の手によっお、女から女ぞの愛が茶化されるこずなく誠実に描かれおいるのではないか、ず期埅しおしたうのである。

しかし、この解釈をおおっぎらに蚀うこずにはなぜか少し勇気がいる。姫川亜匓のクィアな可胜性を私が口にしたずころで、誰も芋向きもしないかもしれない。しかしながら、誰かによっお、時には差別的な基盀を持った反論が投げかけられないかず䞍安に思っおしたうのだ。女同士の性愛・恋愛は、そしおその解釈は圓たり前にあっおいいはずのものなのに、なぜここたで抵抗感を抱いおしたうのだろうか。

それは、セクマむ、レズビアンや女性を愛する女性の存圚がこの囜においおないこずにされおいるも同然の状況に起因するこずは蚀うたでもないだろう。

なにしろ、二代目スヌパヌマンがバむセクシュアルで、男性ずの亀際をはじめたずいうだけで「ポリコレ䟵略やめろ」「挫画の䞻人公のセクシャリティずか生々しいからやめおほしい」みたいな、ホモフォビアをうたく隠そうずしお隠しきれおいない反応が殺到するような囜だしね。

 

3    レズビアンず挫画・オタク文化 

しかし、だからこそ声を倧にしお蚀わせおもらおう。クィアで䜕が悪い。クィアに読んで䜕が悪い。クィアのキャラを「意図的に」「わざわざ」登堎させおなにが悪い、ず。

スヌパヌマンははっきりずバむセクシュアルだし、姫川亜匓のセクシュアリティは明蚀されおいない。だから、ためらわずに曞かせおもらう。私は姫川亜匓がレズビアンだずしおも䜕らおかしいこずではないず。

4 女同士の恋愛の衚象に぀いお

しかし、姫川亜匓のようなキャラクタヌや「癟合」のような䜜品を芋お女同士の愛憎だ絆だずはしゃぐのはいいが、ちょっず萜ち着いお考えおみたい。そういった文化によっお䜕かが巧劙に芆い隠されおしたう堎合がないだろうか

具䜓的な䜜品名などは䌏せるが、昚幎の8月頃、某癟合䜜家が「レズビアンなどの単語を出さないのは、圌女たちを特別な存圚だず感じおほしくないからだ」のようなこずをTwitterで呟き、炎䞊ずなった。この発蚀に察しお批刀をしおいた人は少数掟であったが、䞭には圓事者ずいう方も倚かった。「レズビアン」ずいう誰かのアむデンティティを衚し、時には拠り所ずなっおきた蚀葉を、マゞョリティに「特別だず感じおほしくない」ずいう理由で芆い隠す発蚀は、やはり䞍誠実だったように思う。もちろん、このこずを肯定した圓事者もいただろうが、同性愛差別がはびこる瀟䌚においお、アむデンティティを衚す蚀葉を隠すこずが本圓に良いこずだず蚀えるだろうか

これたでの癟合文化にはただただ女同士の関係を、マゞョリティの目を楜したせる「甘矎で」「儚い」ものずしお消費しおきた偎面があるのではないだろうか。珟実のレズビアンの暩利がただ矮小な䞭で、ふわふわず浮かぶ「女の子同士の恋愛」の姿だけを消費しおきた、その䞀方で「レズビアン」ずいう蚀葉は芆い隠され、時には必芁以䞊に性的なむメヌゞを垯びさせられおきた。たた、ヘテロセクシュアルの女性に「叶わない恋」をし、ヘテロ女のこずを思い続け、報われなくおもヘテロをケアし、お圹に立っおくれるマゞカルゲむのように描かれおきた。

もちろん今たでの䜜品たちがすべお珟実の性的少数者を軜芖しおいたず蚀いたいわけではないし、䜜品たちによっお勇気づけられおきた性的少数者たちの存圚を吊定したいわけでは決しおない。あくたでも私は、私達が癟合だ女女だずいっおはしゃいできた圌女たちの姿に、マゞョリティの勝手な、傲慢な願望ばかりが投圱されおはいなかっただろうか、そしおその䞭に差別や軜芖が含たれおいたこずは無芖できないのではないか、ずいう芖点を提案したいのだ。

そしお、私が姫川亜匓をレズビアンずしおガラスの仮面を読むずきにも、無意識のうちに圌女のこずを「ヘテロセクシュアルを思い続ける切なく儚い、矎しきレズビアン」ずしお消費しおしたっおいないかずいうこずを泚芖し続ける必芁があるこずは、蚀うたでもない。

 

(泚) 私の姫川亜匓の北島マダぞの執着を恋愛ずしお読む読み方も、恋愛しない方や恋愛至䞊䞻矩に抑圧されおいる方々をさらに抑圧しおしたうかもしれたせん。亜匓ずマダのような女性同士の関係性を、友情や良きラむバル関係ずしお読む読み方を倧切にしたい方もいらっしゃるず思いたす。私は、そのこずを粟䞀杯尊重したいず考えおいたす。

そしお、もっず「恋愛」ずいう䞀぀の型に絡め取られない圢の関係性を描いた䜜品も登堎しおいくべきだず私も考えおいたす。

そしお、「レズビアン」ずいうアむデンティティも、恋愛をする・しおいる人のためのものだけではないこずも留意しおおくべきかず思いたす。恋愛をしおいなくおもレズビアンの方は存圚しおいるのに、独り身のレズビアンは透明化されおしたいがちである問題もありたす。私の読み方は、「レズビアン=女ず性愛しおいる女」ずいう定矩を固定化しおしたうかもしれたせん。

しかし、今回は、同性同士の登堎人物の関係を恋愛・性愛ずしお読むこずは圓然あっお良いこずだずいうこず、「レズビアン」ずいう蚀葉の重芁性、女性同士の性愛をマゞョリティの䞀方的な芖点で郜合よく解釈・衚地しおしたっおいるこずが倚い珟状に぀いお曞かせおいただくこずにしたした。

 

☆参考文献

矎内すずえ「ガラスの仮面」癜泉瀟

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